M&Aにおける退職金スキームとは?節税のポイントを解説
M&Aにおいて、退職金を用いた節税として、退職金スキームというものがあります。
今回は、M&Aにおける退職金スキームとはどういったものか、節税のポイントを解説していきたいと思います。
M&Aにおける退職金スキームとは?
退職金スキームとは、M&Aにおいて株式譲渡の譲渡対価の一部を役員退職金で支払う方法のことをいいます。
M&Aの実施をする際に、役員退職金を支払うことは、売り手側企業にも買い手側企業にも、税制上のメリットにつながる可能性があります。
節税のポイントについて
売り手側企業と買い手側企業それぞれのメリットと節税のポイントについて確認していきたいと思います。
売り手企業のメリットとして、節税により譲渡時の手取り額を最大化できることが挙げられます。
退職金スキームを使い株式譲渡対価の一部を役員退職金として受け取る場合、退職する役員兼株主は譲渡所得と退職金所得それぞれにかかる税金を納めることになります。
退職金にかかる所得税は、税負担が軽くなるよう配慮されており、退職者の状況や退職金の金額によっては、株式の譲渡所得税よりも税率が低くなる可能性があります。
退職金スキームを使うと、譲渡所得と退職金所得の税額計算の差を利用することができるため、節税を図ることができます。
そして、手取り金額を最大化することが期待できます。
買い手側企業のメリットとして、退職金の損金算入が挙げられます。
株式取得に要した資金は損金算入することができませんが、株式譲渡対価の一部を退職金として設定することで損金算入することができます。
このことにより、退職金を支払った年度、もしくは翌事業年度以降に発生する課税所得との相殺が可能となり、節税効果を得ることができます。
まとめ
今回は、M&Aにおける退職金スキームとはどういったものか、節税のポイントを確認していきました。
退職金スキームは売り手側のメリットだけでなく買い手側のメリットもあります。
ただし、M&Aを実施するにあたり、売り手側や買い手側それぞれのその時のキャッシュフローや業績など、さまざまな状況下でどのようなスキームを取るのが最善なのかということは自身で判断するのは難しい場合があります。
M&Aにおける退職金の取扱いは複雑なため、どのスキームを選択するか、そのスキームでは退職金をどのように支払うかなど、悩んだ場合には専門的な知識をもつ税理士への相談を検討してみてください。
当事務所が提供する基礎知識
-
中小企業と小規模事業...
中小企業や小規模事業の企業は資金力も乏しいため、事業拡大をしづらい傾向にあります。しかし、中小企業や小規模事業 […]
-
税理士と顧問契約する...
個人事業主として、あるいは法人の経営者としてビジネスを行う以上、税務面の問題から逃げることはできません。しかし […]
-
事業承継の流れ~スム...
事業承継は、後継者に会社の経営権を引き継ぐことをいいます。事業承継はどのような流れで進んでいくのかについてみて […]
-
株式譲渡による事業承...
株式譲渡は、事業承継を行う効果的な手法の一つです。しかし、会社法に従った手続き方法で行わなければ、効力が失われ […]
-
相続税の課税はいくら...
相続税は被相続人から相続する財産の額をもとに計算されることになりますが、すべての財産に課税がされるわけではあり […]
-
【税理士が解説】相続...
相続税申告の際は、内容を証明する添付書類が必要です。提出前には誤りや書類不足がないか、丁寧な確認が欠かせません […]
よく検索されるキーワード
事務所概要
事務所名 | 税理士法人名南経営 札幌事務所 |
---|---|
所在地 | 〒060-0042 北海道札幌市中央区大通西5-1-2 S-BUILDING札幌大通Ⅱ 8階 |
電話番号 | 011-261-8880 |
FAX番号 | 011-261-8881 |
受付時間 | 9:00~18:00(時間外でも事前ご予約で対応可能です) |
定休日 | 土・日・祝日(事前ご予約で対応可能です) |
アクセス | 地下鉄南北線・東西線・東豊線「大通」駅 徒歩3分 |