事業承継税制とは?要件や注意点などわかりやすく解説
企業にとって、事業承継は税金に関する悩みを引き起こすことがあります。
事業承継税制は、後継者の税負担を軽減するための制度です。
本記事では、事業承継税制の要件と注意点について、わかりやすく解説します。
事業承継税制を利用する要件は?
事業承継税制は、次世代への事業引き継ぎを税制面で支援する制度で、事業継続を支援し、中小企業の経営者の高齢化や後継者不足といった問題に対応するために設けられています。
制度を活用すると後継者が株式などの相続・贈与を受ける際の相続税や贈与税の負担を軽減できるメリットがあります。
しかし、適用には厳格な要件があり、慎重に確認して利用することが必要です。
要件①先代経営者
事業承継税制を利用するためには、先代経営者が満たすべき要件があります。
主に以下の2つの条件が必要です。
- 会社の代表者であったこと
- 相続・贈与前に、筆頭株主かつ総議決権の過半数を保有していたこと
先代経営者は会社の代表者であるだけでなく、一族内で筆頭株主であり、その一族が保有する議決権を含めて、会社の総議決権の過半数をもっていることが求められます。
また、贈与が行われる際には、先代経営者は代表者の役職から退いている必要があります。
要件②後継者
事業承継税制を利用するためには、後継者にも一定の要件があります。
相続と贈与で異なるため、それぞれについて確認が必要です。
まず、相続・贈与共通の要件は、先代経営者から筆頭株主かつ総議決権数の過半数を引き継ぐことが必要です。
一般措置では、後継者は最大1名までですが、特例措置では最大3名まで認められます。
複数名の場合は、各々の要件を確認する必要があります。
また、相続の場合の要件は、相続直前に役員であることが求められます。
相続開始から5ヶ月以内に、後継者が代表取締役に就任する必要があります。
さらに、贈与の場合の要件は、贈与直前に3年以上役員として勤務していたことが求められ、贈与時に代表取締役であることが必要です。
要件③会社
承継後も納税の猶予を受けるためには、5年間にわたり特定の条件を満たし続ける必要があります。
まず、後継者は引き継いだ会社の代表者であり続けなければなりません。
また、受け継いだ株式を売却せずに保有し続けることが求められます。
さらに、相続や贈与を受けた際には、雇用人数のうち8割以上を維持することが義務付けられています。
事業承継税制を利用する際の注意点
事業承継税制は猶予という形で税負担を減らす制度のため、後継者が要件を満たさなくなった場合には、猶予されていた税額を支払う義務が発生します。
たとえば、事業を途中でやめた場合や株式を売却した場合などには、適用が取り消され、相続税や贈与税の支払いが求められます。
まとめ
今回は事業承継税制の要件と注意点について、わかりやすく解説しました。
事業承継税制の申請には、都道府県ごとに多くの資料が必要になることがあります。
申請手続きをスムーズに進めるために、税理士に相談することをおすすめします。
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