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相続時精算課税制度とは?メリット・デメリットや今後の改正など

贈与税の課税方法には、「相続時精算課税制度」と「暦年課税」の2つがあります。

もちろんメリット・デメリットの双方が存在しますが、活用することで、節税効果が期待できます。

ここでは「相続時精算課税制度」について、そのメリットとデメリットを中心にみていきましょう。

暦年課税

まず、暦年課税について確認しておきましょう。

 

暦年課税は、1年間の贈与された財産の価額から、基礎控除額の110万円を控除した金額に対して課税する方法です。

暦年贈与とも呼ばれています。

例えば、6月に祖父から孫に100万円の現金の贈与があったとします。

この場合、贈与された100万円は基礎控除額である110万円を下回っていますので、贈与税は発生しません。

 

ただし、暦年贈与の中でも、相続の年からさかのぼって3年以内の贈与(※2024年からは7年以内の贈与に改正)は、相続税の課税対象財産に含まれるので注意が必要です。

例えば、×1年に父が亡くなり相続が発生したとします。

その前年に父から法定相続人へ70万円の現金の贈与が行われていた場合、基礎控除額の110万円を下回っていますが、相続税の課税対象に含める必要があります。

相続時精算課税制度とは

それでは次に、相続時精算課税制度の概要について確認しておきましょう。

相続時精算課税制度は、60歳以上父母祖父母などの直系尊属から18歳以上の子孫などの直系卑属に対する贈与について、贈与金額の合計が2,500万円に達するまでは何回贈与しても非課税になる制度です。

ただし、一度この制度を適用すると、暦年贈与に戻ることができなくなりますので注意が必要です。

なお、贈与された年の翌年の21日から315日の間に申告を行う必要があります。

 

また、贈与する人によって適用する制度を選ぶことができます。

例えば、父からの贈与は相続時精算課税、母からの贈与は暦年課税、というように選ぶことも可能です。

この場合、父については暦年課税に戻ることはできなくなるので注意しましょう。

相続時精算課税制度のメリット

「相続時精算課税制度」のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

 

〇非課税金額が大きく、税率が低いこと

「相続時精算課税制度」を選択する最大のメリットは、累計2,500万円までの控除が認められていることです。

また、累計贈与金額が2,500万円を超えた場合には、超えた部分に対する税率は、一律20%です。

 

例えば、×1年に子が父から2,500万円、×2年に母から300万円の贈与を受け、父からの贈与については相続時精算課税制度を適用し、母からの贈与については暦年課税を適用したとします。

このケースでは、父から受けた贈与は非課税になるので0円です。

一方、母からの贈与の300万円には暦年課税の税率がかかるので19万円が贈与税として発生します。

 

〇贈与する人単位での利用が可能

贈与を受ける人は、贈与をしてくれる人ごとに制度を適用することができます。

例えば両親が20歳以上の一人息子に贈与をするケースで「相続時精算課税制度」を適用する場合、合計5,000万円まで非課税になります。

相続時精算課税制度のデメリット

ここまで「相続時精算課税制度」のメリットについてみてきました。

では逆に、そのデメリットについても触れておきましょう。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

 

〇税金を将来に繰り延べているに過ぎない

「相続時精算課税制度」では、贈与時は2,500万円までが非課税になります。

しかし、贈与した人が死亡して相続が発生した場合は、贈与した財産も併せて相続税の計算対象にする必要があります。

そのため、贈与税で非課税になった分が後から相続税として課税されるイメージをもつ必要があります。

ただし贈与された財産を含めた相続財産全体の金額が、相続税の基礎控除額以下に収まるのであれば相続税は課税されません。

 

〇小規模宅地等の特例が使用できない

小規模宅地等の特例は、特定の条件を満たしている場合に限り、土地の評価額を最大80%まで減額を認めることで相続税の負担軽減を図る制度です。

相続時精算課税制度を適用して贈与した土地に対しては、小規模宅地等の特例を適用することはできません。

相続時精算課税制度を利用して土地を贈与すると、相続や遺贈ではなく、贈与によって土地を取得したことになります。

そのため、相続による土地の取得ではないので、小規模宅地等の特例の対象外になるのです。

 

〇一度制度を適用すると暦年贈与には戻れない

相続時精算課税制度は一度適用すると、その贈与者からの贈与については暦年課税に戻れません。

また、年間の贈与金額が暦年課税の基礎控除額110万円以下でも贈与税の申告が必要になるので注意しましょう。

今後の改正

2023年の税制改正により、2024年以降の贈与から「相続時精算課税制度」にも年間110万円の基礎控除が新設されます。

これにより、「相続時精算課税制度」を適用した場合でも、年間110万円までなら贈与税が発生しません。また、年間110万円までの部分は、相続が発生しても相続税の課税対象に含める必要がありません。

相続時精算課税制度のご相談は、税理士法人名南経営におまかせください

「相続時精算課税制度」は、非常に効果的な制度ではありますが、暦年課税よりも複雑な仕組みとなっています。適用にあたっては、メリット・デメリットを把握し、制度を十分に理解した上で適用する必要があります。

「相続時精算課税制度」の適用を検討する場合は、会計税務の専門家である税理士に相談することをお勧めします。

相続や贈与において「相続時精算課税制度」をご検討中の方は、税理士法人名南経営札幌事務所にお気軽にご相談ください。

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